ロトカヴォルテラ系の安定性解析(2)

   2018/01/12

以前に書いた記事の補足です。
ロトカヴォルテラ系の非自明な平衡点の安定性を解析する際、リアプノフ関数の候補とした
\[
E(x,y)=(dx - c\log x + by - a\log y) -\left( c - c\log \frac{c}{d} + a - a \log\frac{a}{b} \right)
\] の形を調べました。そのときは\(x\)方向と\(y\)方向それぞれについて微分して片付けていましたが、それはちょっと適当すぎるっぽいのでちゃんと計算しました。それを記しておきます。

分野としては最適化の話になります。

\(E(x,y)\)の形として、\( \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b}\right)\)で最小値をとり、その値が\(0\)になっていることを確かめたいのですが、これは言い換えると「関数\(E(x,y)\)の大域的最適解が\( \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b}\right)\)であり、その値が\(0\)」ということになります。

ここで、大域的最適解の議論に必要となる2つの命題を挙げておきます。

命題(大域的最適解の必要十分性)
\(f:\mathcal{R}^{n} \to \mathcal{R}\)が微分可能な凸関数とする。点\( \bar{\boldsymbol{x}} \in \mathcal{R}^{n}\)が\(f\)の無制約最小化問題の(大域的)最適解であるための必要十分条件は、\(\bar{\boldsymbol{x}}\)が\(\nabla f(\bar{\boldsymbol{x}})=\boldsymbol{0}\)を満たすことである。

 

命題(凸性の必要十分性)
2回連続微分可能な関数\(f:\mathcal{R}^{n} \to \mathcal{R}\)が凸関数であるための必要十分条件は、任意の点\(\boldsymbol{x} \in \mathcal{R}^n\)において\(f\)のHesse行列\(\nabla^2 f(\boldsymbol{x})\)が半正定値であることである。

 
以上二つの命題は『東京大学工学教程 基礎系 数学 最適化と変分法』(東京大学工学教程編纂委員会 編、寒野善博 土谷隆 著、丸善出版)より引用(一部改変)しました。
 
つまり、\(E(x,y)\)の凸性を確認した後、\(\nabla E \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b}\right)=\boldsymbol{0}\)を確かめ、さらに\(E \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b}\right)= 0\)が確認できればOKです。
では実際に計算していきましょう。

\(E(x,y)\)のHesse行列は
\[
\nabla^2 E(x,y) =
\left[
\begin{array}{cc}
\frac{c}{x^2} & 0 \\
0 & \frac{a}{y^2} \\
\end{array}
\right] \] となります。半正定値性を確認しましょう。任意のベクトル\( \boldsymbol{u}^{\mathrm{T}}=[u_1 \ u_2] \)を用意して、
\begin{align}
\boldsymbol{u}^{\mathrm{T}} \nabla^2 E(x,y) \boldsymbol{u}
=& [u_1 \ u_2] \left[
\begin{array}{cc}
\frac{c}{x^2} & 0 \\
0 & \frac{a}{y^2} \\
\end{array}
\right] \left[
\begin{array}{c}
u_1 \\
u_2 \\
\end{array}
\right] \\
=&\frac{c}{x^2}u_1^2 + \frac{a}{y^2}u_2^2 \\
\geq & 0
\end{align}

ここまでで、まずは\(E(x,y)\)の凸性が確認できました。
次に、\( \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b} \right) \)が\( \nabla E(x,y) = \boldsymbol{0}\)を満たすかを確認しましょう。
\begin{align}
\nabla E(x,y) =& \left[
\begin{array}{c}
\frac{\partial}{\partial x} \\
\frac{\partial}{\partial y} \\
\end{array}
\right] \left( (dx - c\log x + by - a\log y) - \left( c- c\log \frac{c}{d} + a - a \log\frac{a}{b} \right) \right)\\
=& \left[
\begin{array}{c}
d - \frac{c}{x} \\
b - \frac{a}{y} \\
\end{array}
\right] \end{align}
したがって、
\[
\nabla E\left(\frac{c}{d},\frac{a}{b}\right)
= \left[
\begin{array}{c}
0 \\
0 \\
\end{array}
\right] = \boldsymbol{0}
\] となって、大域的最適解の必要十分性が確認できました。
最後に、最適解の値が\(0\)になっているかを計算すればよいですが、これは以前の記事で計算した通りです。

以上が関数の形の計算の補足になります。

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