ロトカヴォルテラ系の安定性解析

   2018/04/10

僕はロトカヴォルテラ系が大好きなんですが、今日本を読んでいたら演習問題で出てきたので「ちょっくら復習するかw」とか思ってたら全然理解していないことに気づいて焦っていろいろ計算したのでそれをしたためておきます。

ロトカヴォルテラ系は平衡点に関してヤコビ行列の固有値が純虚数になるということで微分方程式系の安定性解析で引き合いにだされることが多いと思います。

大体の流れが
じゃあ実際に2次元系で安定性解析をやってみよう
→平衡点についてヤコビ行列の固有値が純虚数になってしまいましたね
→これだけでは安定性についてはなにも言えません。こういうこともあります。

という感じで、もしかするとそのあとにリアプノフ関数が登場したりしてるかもしれません。
ですが、定数項に関する記述が不完全(なにいってるかは以下読んでもらえればわかると思います)だったり、計算過程が省かれていたりして、リアプノフ関数の要件を満たしていることをきちんと確認している書籍やウェブサイトはあまり見ない気がします。

ということで計算してみました。

まず興味の対象のロトカヴォルテラ系は以下のもの。
\begin{align}
\dot{x} =& ax-bxy \\
\dot{y} =& -cy + dxy
\end{align}

平衡点を求めると次の2つ。
\[ (0,0),\left( \frac{c}{d},\frac{a}{b} \right) \] 今回興味があるのはもちろん後者です。
まずいつも通り線形安定性解析をやってみることにします。

ヤコビ行列を計算して、
\[
Df(x,y) = \left[
\begin{array}{cc}
a-by & -bx \\
dy & -c+dx \\
\end{array}
\right] \] となります。平衡点の座標を代入して
\[
Df\left( \frac{c}{d},\frac{a}{b}\right) = \left[
\begin{array}{rr}
0 & -\frac{bc}{d} \\
\frac{ad}{b} & 0 \\
\end{array}
\right] \] が得られるので、この行列について固有値\(\lambda\)を計算して、
\begin{align}
\lambda = \pm \sqrt{ac}i
\end{align}
となっていつも通り純虚数が出てきます。

天下り的にリアプノフ関数の候補として次の\(E(x,y)\)を考えることにします。
\[
E(x,y)=(dx-c\log x+by-a\log y)-\left(c-c\log \frac{c}{d}+a-a\log\frac{a}{b} \right)
\] \(x\)方向と\(y\)方向それぞれについて関数の形を調べると次のような増減表が得られます。
\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline
x & \cdots & \frac{c}{d} & \cdots \\ \hline
\frac{\partial E}{\partial x}& - & 0 & + \\ \hline
E & \searrow & & \nearrow \ \ \ \ \\ \hline
\end{array}

\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline
y & \cdots & \frac{a}{b} & \cdots \\ \hline
\frac{\partial E}{\partial y}& - & 0 & + \\ \hline
E & \searrow & & \nearrow \ \ \ \ \\ \hline
\end{array}
増減表より、関数\(E(x,y)\)は\(\left( \frac{c}{d},\frac{a}{b} \right)\)で最小値をとることがわかり、その値は、
\begin{align}
E \left( \frac{c}{d},\frac{a}{b} \right) =& d\frac{c}{d} - c \log \frac{c}{d} + b \frac{a}{b} - a \log \frac{a}{b} - c + c \log \frac{c}{d} - a + a\log \frac{a}{b}\\
=& 0
\end{align}
つまり関数\(E(x,y)\)は平衡点で値0をとり、それ以外の点では正の値をとることになります。
ここまででリアプノフ関数の一つ目の要件が満たせました。

次に\(E(x,y)\)の軌道に沿った時間微分を計算します。
\begin{align}
\dot{E} =& d\dot{x} - c\frac{\dot{x}}{x} + b\dot{y} - a\frac{\dot{y}}{y} \\
=& d(ax - bxy) - \frac{c}{x}( ax - bxy ) + b(-cy + dxy) - \frac{a}{y}(-cy+dxy)\\
=& adx - bdxy - ac + bcy - bcy + bdxy + ac - adx \\
=& 0
\end{align}

これで2つ目の要件も満たせました。
よって、めでたく関数\(E(x,y)\)は(広義の)リアプノフ関数ということになり、平衡点\(\left( \frac{c}{d},\frac{a}{b} \right)\)は中立安定であるということがわかりました。

定数項が適当というのは、\(E(x,y)\)の後ろについているあたかもなにかしらの帳尻合わせが働いているであろう項について単に\(K\)とかされていたりすることで、計算の過程が省かれているというのは、リアプノフ関数の一つ目の要件の確認がなされていないことを冒頭では指し示していました。

リアプノフ関数そのものの導出や定数項の帳尻合わせについては後日追記したいと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメントを残す