書籍紹介『力学系入門 ―微分方程式からカオスまで―』

   2018/01/27

Hirsch・Smale・Devaney 力学系入門 ―微分方程式からカオスまで―』(Morris W.Hirsch、Stephen Smale、Robert L.Devaney 著、桐木紳、三波 篤郎、谷川清隆、辻井正人 訳、共立出版)の紹介をしたいと思います。

この本は僕が学部3年のときに、同志を募って合計4人で自主ゼミを開いたときに使用したものです。
僕が持っているのは第二版ですが、現在は第三版が出ています。
まさに副題の通り、微分方程式から入って力学系へと進み、最後の方でカオスにも触れています。

まず序盤から前半では線型代数のちょっとした復習から始まって、固有値・固有ベクトルと微分方程式の解の挙動との関係性の整理、また、相図の整理がなされています。中盤では、平衡点の安定性に焦点を当てた非線形系の解析や分岐の紹介がなされ、そのあとに応用例(回路理論や生物学、力学など)が紹介されています。終盤ではカオスに関してローレンツ系に触れ、離散力学系についても言及されています。

各章末には演習問題が豊富に用意されています(解答は載っていません)。僕がゼミで使用した際は、主に章末問題の答え合わせをみんなでやる、という形式で勉強を進めていきました。

基本的には2次元系で話が進められており、具体例も都度出してくれているので、視覚的なイメージを持ちながら読み進めることができるかと思います。3次元系も度々登場しますが、図が載っているので安心です。

解析に際して幾何的な考察になんとなく著者らの熱意を感じる気がします。これはこの本の特徴ではないでしょうか。

入門と題しており、また、前半部は割と簡単な話にページ数が割かれていますが、決してそれだけで終わるような本ではないと思います。

僕が力学系に触れたのはこの本が初めてであり、正直難しくてスルーした部分もあります。
しかし、うなりながらもとりあえず読み進め、演習問題を頑張って解いた結果、力学系を勉強するうえでの基礎体力みたいなものは養成されたように思います。

注意点としては以下の二点が挙げられるかもしれません。
・線型代数や微分方程式に焦点を当てた本ではないので、それらの知識なしで読むのはちょっと厳しいと思われる。
・「カオスまで」とあるがカオスの本ではないのであくまで力学系の本として読むべき(上述したが最後に少し触れられている程度)。

パラパラめくってみると「あーここスキップしちゃったけど今なら読めるかも」「読み返したら理解できるところが増えてそう」「証明は流していたけど2回目はきちんと読んでみるか」「この話題、理解したつもりだったけどもう一度読んだらいいことありそう」と思えることが多々あるので、なかなか密度の濃い本だと感じています。

数学的に結構カッチリした記述もありますが、その部分がちょっと怖いという方でもあまり肩肘はらずに読めるとこだけ、という感じで読んでも全然大丈夫だと思います(事実僕がそんな感じですが力学系の雰囲気はわかったので)。

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