書籍紹介『複雑ネットワーク 基礎から応用まで』

   2018/02/24

複雑ネットワーク―基礎から応用まで(増田直紀、今野紀雄 著、近代科学社)の書籍紹介をしたいと思います。

この本は僕が複雑ネットワークの勉強で最初に用いたものです。
タイトルの通り、複雑ネットワークの基礎から応用までカバーしてくれている本です。

構成としては、
主な特徴量の導入
→グラフ理論の簡単な復習
→複雑ネットワークにおけるさまざまなモデルの紹介および解析
→ネットワーク上のダイナミクス
といった具合です。以上の4点についてもう少し詳しく言及していきます。

・特徴量の導入
複雑ネットワークという分野において議論や解析のたたき台となる特徴量の導入がなされます。
さまざまな特徴量の定義が次々に出てきて、少し退屈に思えるかもしれませんが、ここをクリアしないと以降の話がよく理解できませんので頑張りどころだと思います。ただ、その特徴量の直観的なイメージなどについても述べられているので、ひたすら無機質というわけでもありません。それから、本を読み進めているうちに、「この特徴量なんだったっけ」という感じで結局後から見返すことになると思うので、最初から全部の内容を頭に詰め込む必要はないと思います。

・グラフ理論の簡単な復習
複雑ネットワークの議論には、グラフ理論の知識・理解が必要になってきます。ですが、だからといって複雑ネットワークの勉強をする前に1冊なにかグラフ理論の本を読む、という必要はないと思います。事実、僕はグラフ理論についてはほぼ知識ゼロの状態でこの本に手をつけましたが、それで困るということはありませんでした。
特徴量の導入の章と、古典的なネットワークモデルの紹介の章が最初の方に用意されていますが、これらの章を読めば大丈夫だと思います。

・モデルの紹介および解析
中盤では、複雑ネットワークで有名なワッツストロガッツモデルに始まり、その他さまざまなネットワークモデルについての言及がなされています。これがこの本のメインなのかなあと思います。個々のモデルについて、その性質や構成の仕方、特徴量の計算などが記述されています。

・ネットワーク上のダイナミクス
終盤ではネットワーク上のダイナミクス(感染症伝播や同期現象など)が取り扱われています。僕はこれが勉強したくてこの本を読みました(力学系との関連です)。ネットワーク上の動的な現象について書かれている本は、日本語で読めるものは僕の知る限りあまりないので、そういう意味で僕にとってこの本はとてもありがたいものになっています。

当書籍のおおまかな内容は以上のような感じです。
イメージを掴みやすいように、図を用意してくれていたり、定性的な理解のための記述(数式の意味しているところの説明や、計算結果の解釈など)も結構豊富に盛り込まれているので、なかなか読みやすいのではないかなと思います。

また、複雑ネットワークという分野が現実の問題にどう使われているのかを紹介する章もあったり、丁寧な参考文献の紹介が載っていたりもするので、そういった意味でも重宝しています。

冒頭でも述べたように、基礎だけでなく、応用面でも内容が濃い1冊になっていると思います。

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